天然ガス

GTCC(ガスタービンコンバインドサイクル)で脱原発

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消された数字12 秋元 理 回想

3年前のある日

アケボノ電気独身寮A先輩の部屋
秋元理は、A先輩の部屋を訪ねた。
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A先輩「おお、そこに座れ。あ、座る場所ないな。自分で適当にそこいらの物どけて座れや」
秋元「今日は、ちょっと相談があって、、、。」

先輩「酒飲むか?」
秋元「今日はちょっと、あの、真剣な話なんで」

先輩「お前はいつも深刻な顔して、そんなんじゃ、女にもてないぞ、キャバクラ行くか?」
秋元「先輩はもてるんですか?」
先輩「言うねぇ、もてたためしがねぇ」


秋元「あの、そういう話じゃなくて、この前の話です。あのことがあってから、ボクは仕事に集中できなくて」
先輩「あのことって何?」

秋元「この前の福島の原発の時のことですよ」
先輩「なんかあったっけ?」

秋元「率直に言いますよ。失礼になるかもしれないけど、怒らないでくださいね。どうしてもはっきりさせないとボクは仕事が手につかない」
先輩「はいはい、なんでもどうぞ」

秋元「先輩、あの時、データ捏造したでしょ。あれは、やっぱりまずいと思うんですよ。だから、もう一度きちんとやり直したほうがいいと思うんです。きちんと会社に報告して」
先輩「ああ、あれか。あれでいいと思うけど」

秋元「データ捏造なんて、ダメに決まってるじゃないですか」
先輩「あれでいいの。だいたいお前が可変抵抗器忘れるから、ああなったんじゃない」  

秋元「それはそうですけど、先輩にはご迷惑をかけましたけど、でも、試験をきちんとしていないじゃないですか、だから、もしも事故が起こったときに、どうなるかと考えたら、怖くなって、眠れない」
先輩「ああいうことはね、忘れるのが一番!キャバクラ行こうか!な、あけみちゃん、今晩いると思うよ」

秋元「そうじゃなくて、ちゃんと会社に報告して、もう一度。。。ボクが報告しますから」
先輩「待て。報告なんていらないんだよ。あれは、データの捏造なんかじゃない。お前は、考え違いをしている。」

秋元「分かりました。明日、会社に報告します。」
先輩「やめてくれよ。そういうの。分かった。じゃあ、よーくお前にも分かるように説明してやる。大人の仕事の仕方をな」

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3年前のある日のさらに一ヶ月前

福島原発非常用電源室
A先輩と秋元の二人で非常用電源装置のリレー試験をしている。
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先輩「じゃあ、行くよ。準備OK?」
秋元「OKです」

先輩「よし、じゃあ、スリー、ツー、ワン、ゴー!カット!」
秋元「トリップ成功です。0.34秒」

先輩「じゃあ、今度、ディファレンシャル行こうか」
秋元「はい、あ、あああ、可変抵抗器がない!事務所に忘れた。」

先輩「あら、可変抵抗器ないの?バカタレ!」
秋元「すいません。今すぐに取ってきます」

先輩「いまから事務所に戻っても、停止時間内には戻れないじゃないか。いいよ、戻らなくて」
秋元「すいません、どうしたらいいんだろう。停止時間延長できますよね」
先輩「そりゃー、無理だな」

秋元「ああ、どうしたらいいんだろう」
先輩「こういう時はだな、オレに任せろ、ここに、こうやって、0.88s。これで万事終了!」
秋元「え?それは、試験もしないのに、試験結果を書いたら、、、、。それって、データ捏造じゃないですか!」

先輩「声が大きいよ。これでいいの。」
秋元「でも、それじゃあ、、、、。」

先輩「はい、ではこれで今日の試験は無事終了!今日もすべて異常なし!片付けて帰るよ」
秋元「え、でも、、、。それは、、、。」
先輩「ぐずぐず言ってないで帰るよ。停止時間はもうすぐ終わりだ」
秋元「。。。。。。」

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再びアケボノ電気独身寮A先輩の部屋での話続き
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先輩「さあ!キャバクラいこ!」
秋元「今日は、ダメです。先輩がはっきりしてくれないなら、会社に報告します。」

先輩「お前も頑固者だね。。。。よし、わかった。お前にも分かるように説明してやる。耳かっぽじって良く聞くように」
秋元「はい」

先輩「お前が気にしている、この前の、ディファレンシャルな、あれ、試験しなかったけど、壊れていると思う?」
秋元「え?んーん。壊れてはいないでしょうね」
先輩「そう、壊れているはずはない。よって、正常に動作する。よって、問題なし!さあ、キャバクラ行こうか!」


秋元「でも、絶対壊れていないわけじゃないですよ。万が一と言うことはある。だから、試験するわけだし。万が一、あのリレーが働かなかったら、原発の外部電源喪失時に非常用電源も働かないことになる。そうなったら、大事故に発展して、放射能が外部に」
先輩「お前も、心配性だねぇ。そんな心配いらないよ。原発は絶対安全!」

秋元「それは、先輩、違いますよ。外部電源喪失事故は、今まで、何回も起きている。だから、非常用電源装置が働いて大事故を食い止めている。」


先輩「万が一な、じゃあ、聞くが、あのディファレンシャルはうちの製品だよな。セールスポイントは?」
秋元「業界初の10年保障、メンテナンスフリー」

先輩「だろ、メンテナンスフリー。試験の必要なし。10年保障。10年後は新品交換」
秋元「でも、それは、違いますよ。原発は危険だから、電力さんの内規に従って、2年に一度は試験して性能を確かめることになってます。それは、通産省保安院の要請でもある。万が一にもリレーが働かないと言うことがあってはならないから」

先輩「お前の頭、固すぎだな。よく考えて物事を言っているの?いいか、よく聞け。あのディファレンシャルの寿命は10年だ。10年のうち働く可能性はほとんどない。外部電源喪失事故なんてめったにないからな。本当にあれは、万が一のためにあるわけだ。そんで、その万が一の時にディファレンシャルが働かなかったら、って、ディファレンシャルが働かないなんて、ほとんどありえない。試験するしないは関係ないよ。」


秋元「でも、絶対安全とはいえない。だから、試験して性能を確かめるわけじゃないですか」

先輩「絶対なんてこの世にないの!お前は、ほんとに、バカだな。いいか、事故確率ってものを考えてみろ。ゼロじゃあないがほとんどゼロ。無視していいんだよ。万が一外部電源が喪失する、そして、万が一ディファレンシャルが動かない、それでも、バックアップがあるじゃない。OCRが働くからOK.。そのOCRも万が一働かなかったとしてもだ、非常用電源は二つある。独立二系統だ。そんで、万が一二つともダメだったら、最後の砦は、バッテリー電源。8時間は大丈夫だ。その間に、電源車が到着して、大丈夫ということになっているんだよ。つまりだ、、電源車登場の事象の確率は万が一の4乗だ。隕石に当たって、人が死ぬより低い確率だ。無視してよろしい」

秋元「なるほど、万が一の4乗か。確かにそうですね。原発大事故は起こりえない」

先輩「じゃあ、この話は終わりにして、キャバクラ行こうか!」
秋元「行きましょ!ありがとうございました。助かったぁ。これで、今晩からぐっすり眠れます。安心しました!」


秋元「あれ?先輩!じゃあ、2年に一度のリレー試験って、あれは何のためにしているんですか?試験なんて無意味じゃないですか。」
先輩「お前もグダグダしつこいね。あれは、儀式って奴よ。安全祈願だな」

秋元「安全祈願ですか!じゃあ、あの時は安全祈願不履行ですね」
先輩「あのな、メンテナンスフリーなんだから、試験しない方がいいんだよ。試験することによって、壊しちゃう可能性さえある。それを考えると、試験してもしなくても関係ないね」

秋元「確かに、下手に試験したら、性能劣化しますね。このあいだ、電力さんが勝手に自主点検とか言って、試験して壊して、、、。」
先輩「うちに泣きついてきて、新品交換したな」

秋元「試験は儀式ですね。安全祈願!」
先輩「よし!じゃあ、キャバクラ行くぞ!」


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秋元理は、それ以来、仕事に熱が入らない。安全試験は儀式、安全祈願。やってもやらなくても、安全上は同じだ。確かにそうだ。しかし、それは、秋元から仕事への情熱を完全に奪ってしまった。入社してから3年。電源系統の安全砦、保護リレー。その定期点検試験が彼の仕事だった。それが彼の持っていた仕事の誇りだった。それは幻想だったのだろうか。。。やってもやらなくても同じ。安全祈願を一生続ける自分を想像すると悲しかった。秋元の情熱は別の何かを求めはじめていた。


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