天然ガス

GTCC(ガスタービンコンバインドサイクル)で脱原発

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消された数字18 入院

秋元理は、東南病院への道を急いでいた。

恵からしばらくメールが来ないと思ったら、突然、携帯にメールが入った。

「東南病院に入院しています。私、死んじゃうかもしれません。会いに来て。203号室」

いったいどうなっているんだ。惠が入院?死んじゃう?

病院の受付で203号室に恵が入院しているのを確認した。面会者ノートに氏名を記入して部屋に急いだ。

203号室は二人部屋のようだったが、涼原恵の名札だけがかけてあった。ドアをノックすると、見知らぬ若い女性がドアを開けてくれた。

「あ、あの、秋元と申しますが、涼原恵さんの部屋はここですよね」

「あ!はい。そうです。どうぞ中に入ってください」

狭い白い部屋。ベッドが2つ。一つは空いている。もう一つのベッドにパジャマ姿の恵がいた。

「恵さーん!噂をすればなんとやら。理君ですよ!」
見知らぬ女性は恵の友人らしかった。何かヒソヒソ話を惠とかわすと、「じゃあね。お大事に」と言って、そそくさと病室から出て行ってしまった。

理は取り残されたようにドアの脇に立っていた。

「理君。部屋に入って、ドアを閉めて」
惠に言われて、ドアを閉め、ベッドの方へ近づいた。
「いったいどうしたの?あんなメールを突然くれるから、驚いたよ。。。元気そうじゃないか、死んじゃうなんて脅かさないでくれよ。」

「ごめんなさい。でも、私、ほんとうに死んじゃうかもしれないと思って、」

「医者はなんて言ってるの?」

「血液検査で異常値が出たから、入院して、再検査しろって。私、福島に取材に行ったでしょ、だから、だから、きっと被曝して、死んじゃうんじゃないかと思って」

「そんなことはないと思うよ。取材に行っただけだし、福島にはたくさんの人が住んでいるじゃないか。」

「私、福島の取材から帰ってきて、それから、鼻血が出たのよ。鼻血なんか出たのは小学校時代以来だわ。それに、体がだるくなって、仕事に集中できなくて、近所のお医者さんに行ったら、過労だって言われたけど、すぐにぴんときた。被曝したんだ。白血病になるかもしれないって。だから、この病院で精密検査を受けたのよ。そうしたら、やっぱり、再検査しろって言われたわ。」

「福島の取材は強行軍で、過労だよ。被曝量は少ないはずだから、白血病なんてありえない。心配しずぎだよ。そういう心配し過ぎと過労だよ。」

「でも、福島では子供たちに異常が出ているわ。大人だって。。。」

「心配しすぎだよ。再検査の結果、異常なしってなると思う。」

「理君もお医者さんと同じ事を言うのね。本当のことを話して! 私は被曝して、そして、白血病になって、死ぬんでしょ?」

「そんなことは絶対ないよ」

「絶対ないってどうして言えるの?嘘だわ。本当のことを話して! 理君、眼をそらしている。嘘を言って、安心させようとしているのね。」

惠は、ベットに顔をうずめて静かに泣き出した。理はどうしたらいいのかまるで分からないまま、つったっている。

「心配し過ぎは精神的に良くないよ。過労は確かにあるんだろうから、ゆっくり休んで早く元気になって。」

「理君、本当のことを話して!お願い。被曝で白血病になるんでしょ?」

「そんなことはないいってば」

「嘘!私の目をみていって。正直に、知っている事を全部教えて欲しいのよ。お願いだから。」

理は、ベットに横たわる惠のやつれて青白い顔色を見た。惠の手を握り、惠の眼を見据えた。そして、ひとつの決心をした。惠が白血病であろうとなかろうと、彼女を疑心暗鬼から救うのは慰めではなく、真実を伝えることだと。惠の疑心暗鬼を解くのは、慰めではダメだ。知っているすべてのことを話してあげよう。惠なら、きっと真実にうろたえることはないだろう。真実を知らせることこそ、彼女を救うと思った。理は惠の手を握りしめたまま語りはじめた。

「わかった。僕の知っていることは全部話すよ。嘘はつかない。正直に話す。慰めは言わない。君は新聞記者だ。被曝のことはすべて知るべきだ。」
「君は、福島に取材に行った。被曝はしたと思う。ただ、低線量だから、急性障害や白血病は、まず考えられないが、絶対ないとは言い切れない。確率的な影響は個人差が大きい(資料1)。それと、鼻血や倦怠感は、低線量被曝の時の「被曝ぶらぶら病」(資料2)の典型的な症状だ。だから、被曝の影響かもしれないし、そうじゃないかもしれない。これは、誰にも分からない。医者にも分からない断言できない。」

惠は眼を伏せている。じっと聞き入っているのか。理は合わせていた手を離した。

「理君、ありがとう。もう少しここにいて。私の手を握っていて。」

理は再び惠の手を握りしめた。



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資料1
個人差の大きい被曝障害
http://keikakuteiden1.blog.fc2.com/blog-entry-254.html

資料2
被曝ぶらぶら病が子供に襲いかかる
http://keikakuteiden1.blog.fc2.com/blog-entry-211.html

資料3
被曝ぶらぶら病は、「がんにおける放射線治療の副作用・後遺症」http://allabout.co.jp/r_health/gc/302513/
いわゆる「放射線宿酔(しゅくすい)」との類似も指摘されています。


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